大阪市の障害福祉施策について  大阪市行革プランと予算


 大阪市は、2012年度から3年間で約548億円の支出を削減する「施策・事業の見直し(試案)~市役所のゼロベースのグレートリセット~」を2012年4月5日に発表。その際、橋下は「(大阪市の行政サービスの)贅沢三昧(ぜいたくざんまい)の状況からレベルを落とさせていただきたい」と全分野、すべての世代を対象に切り捨てを明示。

 その後、同年7月に「市政改革プラン 施策・事業の見直しと再構築」を発表し、継続事業と廃止・縮小事業を部局別に発表した。その中で、福祉局では主に14の施策が廃止、縮小とされた。2015予算と比較すると2015予算と照らして判明したもの(私が確認できたもの)だけで、約48億円を削減している。事業再編で実際の削減額が不明なものをいれれば、もっと多い。2012年7月の「施策・事業の見直しと再構築」通りにすべて行われていれば、14施策で合計546,667万円の福祉切り捨てをしたことになる。

※エクセルの表及びPDF大阪市資料の65ページ以降の福祉局の項目参照。

・上下水道料金福祉減免…重度障害者世帯、ひとり親世帯、高齢者世帯、精神障害者世帯等に上下水道料金の基本料金相当額(1,576円)を減免していたのを廃止。留意事項として「真に支援を必要とする高齢者、障害者等への支援施策を再構築する。」とあったが、2015予算にはない。

・障害者施策の地域生活支援では、中学校区に1名配置の地域生活支援ワーカーを128名から24名に縮小。事業名は同じまま、各種法定施策を統合しているため、事業自体の総額は増えているが、実際は削減。予算から推計すると2011年で7億1千万円が2015年では約1億5千万円となっている。※ただし、見落としがあるかもしれません。

・小学校区単位の地域ネットワーク委員会の事務局を担うネットワーク推進員を廃止。地域福祉事業も再編されているため実際の削減額不明。

・高齢者サービスは、老人ホームサービス利用料補助の削減、食事サービスの全廃(2015年度より)、老人憩いの家補助、老人福祉センター統合削減で約4億2千万円の削減。

・障がい者スポーツセンターは利用負担増で約4千4百万円の削減。

  以上が主なもの。障害者福祉施策は表立っては削減は少ないようにみえる。これは、もともと障害者自立支援法等の法定施策が多く、大阪市の裁量で削減ができないことと、削減していても事業を再編統合して見た目ではわからなくなっていることがあげられる。

  しかし、事業見直しの「基準」は、とても市民生活に寄り添うものではなく、きわめて機械的なものである。

グレートリセットの見直し基準は、

①大阪府内で統一的に実施されている施策・事業については、その水準に合わせる。

②その他の施策・事業については、4指定都市(横浜市・名古屋市・京都市・神戸市)の標準的な水準に合わせる、である。

これは、大阪市民の生活実態を把握して無駄なものを削るのではなく、市民生活を無視した機械的な財政縮小主義である。実際に、4指定都市を上回る市独自の施策と法定事業への市独自の補助加算措置を軒並み削減し独自施策として手厚くすることは放棄している。継続と決めた施策は、法定事業で大阪市に削減の裁量がないものにほぼ限られている。

また、老人福祉センターは26箇所から18箇所に削減したが、大阪都構想実現後の特別区では1区当たり2箇所に統合削減するとしている。また、橋下は特別区になったら、今後17年間で2,700億円を行革で削減すると言っており(説明パンフ)、まさに聖域なき削減が始まる。

橋下は府知事時代に「障害者施策は削れない」とテレビの前で涙まで流す「パフォーマンス」をやってのけたが、実際には障害者8団体の団体補助をゼロにするなど障害者に冷たいものだった。その橋下が、都構想で障害者施策を手厚くするはずがない。

橋下の手法は、2011年の市長選のとき「敬老パス制度を維持します」と公約したが、しかし有料負担にした。「制度は維持した」とうそぶく「詐欺」が得意だ。絶対、だまされてはならない。

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