3月9日、大阪市会・財政総務委員会での橋下市長答弁のウソ



2015年3月9日、大阪市会・財政総務委員会での橋下市長答弁のウソ


①最初のホンダリエ委員の質問は「用途地域の権限は将来特別区になるようにする」と確認。

⇒都市計画法の法改正が必要。現行は法により都の権限となっている。国の回答も「都市計画法 関連事務について、 法の趣旨に鑑み、事務処理特例等よる移譲にはなじまない」(第17回法定協 国交省意見)としている。橋下市長が約束できるものではない。

 

橋下市長は、「反対派が不安ばかり煽っている」として反論を展開

 

②二重行政について

建物については役割が重ならないなら2つあってもいい、意思決定機関が2つあるのが無駄、大阪全体を“最適化する”。

⇒話のすり替え。そもそも維新の会は二重行政の例として図書館などを挙げて来た。一つのことを決めるのに意思決定機関が2つあるのではない。役割分担の違う意思決定機関がそれぞれある。現行は大阪市域とそれ以外の府域の広域行政という権限も分担している。それでWTCやGTBは大企業のためのハコモノ行政という政策の問題である。意思決定機関が一つでも当然ムダはおこる。二重行政が原因でないものを弊害として意図的に描き、大阪府知事への権力の一元化と政策の強行ができる体制づくりの正当化へのすり替えだ。

 

③市の財産を売っ払う

府が勝手に処分することはない、事業後は市に戻す。反対派は市のことしか考えていない。

⇒意味不明。勝手かどうかは別にして、処分したら戻ってこない。

 

2,200億円が府に盗られる

担当者が変わるだけ。市民に不利益はない。

⇒担当者が変わるだけではない。使い道は、司令塔が一つになった大阪府の「広域行政」に使うと明言し、「世界と戦える都市」として産業基盤整備、交通インフラの整備すなわち、うめきた開発、なにわ筋線、高速道路、リニア、そして統合型観光リゾート誘致としてカジノをいの一番に上げている。(大阪維新の会HP)市民生活に回すべき金を、市民生活と何の関係もないものに使うのだ。不利益以外にない。

 

24人の子ども(区)の住む家に浪費癖の親(市長)がいる。8,500(億)円稼いでも、70(億)円(市が区に払っている裁量経費?)しか小遣いがもらえていない。こんな親からは自立しないといけない。いきなり24人が独立できないから、5グループになって自立の道を歩むために600(億)円の敷金礼金がかかるが、17年でトータル2,700(億)円の財源が確保できるのだから、初期費用としてのコストだと見ればいい。おじいちゃん(府)に2,200(億)円の仕事を任せるが、おじいちゃんにもしっかり研修してやらせる。これが都構想だ。

⇒意味不明。小遣いが足りないなら増やせばよい。それは現行の大阪市として、していないだけ。都構想とは関係ない話だ。例え話にもなっていない。また、敷金というイニシャルコスト680億円は確実にかかるが、2,700億円の財源は、民営化と行革そして職員大リストラによって生まれる額であることは法定協資料で明らかで、都構想の効果額ではない。都構想そのものからでは説明できないものを、あたかも都構想によって生み出されるとするのは、ペテンとしか言いようがない。

 

⑥特別区間の格差が広がる

今の水準は確保できる。地域の実情に合わせ、住民が選んだニーズ・特色であって、格差とは言わない。住民が選んだ結果だ。

⇒特別区は、大阪府の下部組織でもあり、基礎自治体の位置づけもある。大阪市の区であれば、市一律の施策を全市で講じられるが、特別区であればそれぞれが自治体であるので、特定の特別区の範囲にしか施策は適用されない。そこでは、東京都の特別区もそうであるように、必然的に税収によってサービスの格差が生まれる。

個人市民税、軽自動車税等の特別区税に臨時債、譲与税、各種交付金を加えた法定協流「自主財源」は、梅田を抱える北区(50%)、天王寺を抱える中央区(48%)以外はいずれも3割台と見積もられている。そして、大阪府は「身近なサービス」には関与しないし、格差が出てもそれを特別財政調整交付金で埋めて一律にすることはしない。当然、市民サービス施策に差が出る。どの特別区に住むか、現在の市民に特別区の選択権はないのに、それを「住民が選んだニーズ」「住民が選んだ結果」と住民の自己責任にすり替えるもので、都構想では住民サービスは面倒見ませんよ、と宣言しているに等しい。

 

⑦自主財源1/4になる

使えるお金が減ってしまうかのような錯覚を与えているのは虚偽

⇒虚偽ではなく事実。特別区の自主財源たる収入は、個人市民税、軽自動車税等の特別区税と各種手数料など。税収は確実に1/4になる。

法定協で自主財源に勘定されている臨時債、譲与税、各種交付金は本来の自主財源ではない。ましてや特別財政調整交付金は府からの交付金である。自主財源は誰にも邪魔されず確保できる財源であるが、臨時債、譲与税、各種交付金、特別財政調整交付金は一定の決まりや府との協議によって交付してもらうもので、自由に使える一般財源ではあるが、相手の都合で変動する。自主財源の多寡は、自治体の施策の自由度のカギなのは常識だ。

 

⑧区役所がなくなって不便、税金上がる

今の24の区役所を残すのはハッキリしている。

⇒残る24の区役所は、ほとんどが支所化する。一般に支所と本庁では、取り扱い窓口は違う。これまでの区役所でできていた手続きなどが、支所化されることによりできなくなる事項が増えることは確実である。全国の合併例で明らか。

 

⑨増税も水道料金も上がることはない。経営合理化でこの10月~水道基本料金は下がる

⇒水道料金の値下げは、都構想とは無縁。(市税増税はどこも批判点として言っていない。)ただし、国民健康保険、介護保険料などは一部事務組合になり、特別区財政から大阪市のように200億近い任意繰り入れができなくなれば、必然的に料金は上がる。その可能性は大。 ※ 介護保険料は、今でも大阪市が全国一高い。4月から月額6,758円。

 

⑩大阪都構想によって市民の皆さんに負担が増すことは一切ない

⇒根拠のない説明。維新の会HPでは、現在提供している住民サービスは「削らなければならない点についての不断の見直しが必要」「無料とするか有料とするかは、特別区長と特別区議会が決める」と、しっかりと留保条件をつけ、市民サービスの切捨ての口実を設けている。

 

⑪都構想の効果額に差がある(説明と実態との差)

大阪全体の最適化、大阪全体の成長戦略の下に執行していく効果は計りきれない

⇒都構想そのものからでは説明できないものを、あたかも都構想によって生み出されるとしてきたので、正面から反論できず、「大阪全体の成長戦略の下に執行していく効果」と権限の一元化の一点ですり替えている。

 

新しいことをする移行時期には課題はあると思うが、力を合わせて修正し、みんなでいいものをつくって安心のメッセージを出していきたい・・

橋下市長の答弁をみても、ウソ八百だが、都構想の強調点は詰まるところ、市長はなくなり府知事1人が、成長戦略の下に広域インフラ整備などの権限を一元的に持ち担うことが世界と戦える都市をつくる、この効果が計り知れない、ということに集約される。

実態は、財界のためのなにわ筋線、高速建設、カジノ、リニアの誘致などだ。そのため現行の市税のうち4分の3を占める法人市民税、固定資産税、都市計画税、事業所税等が大阪府の収入で特別区は現在の市税収入の4分の1に激減する。この結果特別区はスタートから5年間で合計1千億円以上の赤字。加えて新庁舎建設など初期費用は600億円以上と大阪市民は新たに巨額の借金を背負うことになる。その状況では現在の行革プランに基く市民サービス切り捨ては拍車がかかることはあっても、特別区が「より地域密着型の行政サービスを展開」することは不可能で、大阪市をなくして知事に権力を一元化し、財界本位の政策を推進、市民生活がどん底に突き落とされることになる。

 

映像記録は、こちらから…

大阪市会 > インターネット録画放映 > 常任委員会 平成27年3月9日 財政総務委員会

http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu260/live/committee/20150309zai.html

ダウンロード
2015年3月9日、大阪市会・財政総務委員会での橋下市長答弁のウソ.pdf
PDFファイル 127.6 KB